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働きマンは菅野美穂
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──『働きマン』の主人公・松方弘子を演じるにあたって、まずは、その意気込みからお願いします。
「私にとって、『働きマン』は30 代になって初めての連続ドラマなんです。そんなタイミングで、松方みたいな魅力的な女の子を演じられるのがすっごく嬉しいですね」
──この取材時点では、まだクランクイン前なのですが、原作は既に読まれていますか?
「はい、前から読んでいて、今は常に持ち歩くようにしています。安野さんの漫画に出てくる女の子って、働くことを大切にしながらも、いつもオシャレで自分の“女子力” を常に衰えさせないように気を配っていますよね。原作を読むことで元気がもらえることが、よくあるんです」
──『働きマン』の中でどんなエピソードが好きなんですか?
「私の好きなエピソードは、自動車の玉突き事故のお話です(※単行本2巻収録)。大事故に出くわした人みんなが、携帯電話で写真を撮っていてるという異常さが描かれているんですが、そういうのって誰しもなんとなく感じていることだと思うんです。さすがにたまにしか見かけませんが、コーヒーを持ったままショップに入ったりだとか、どこか異常な姿を日常で見かけることがありますよね。感性が歪んできている。そういう異常さをなんとなくは感じることはあったんですけど、『働きマン』を読んで“あっ!” ってなったんです。作品を読んで、初めてハッキリ言葉でその異常さを理解したんです。そういうことに気付くのが、安野さんの鋭いところだと思います」
──松方をどんな風に演じたいと思いますか?
「漫画の表現力って、ドラマの表現力とは少し違うと私は思うんです。作者の理想をちゃんと形にできるというのが、漫画の一番の強みですよね。ところが、ドラマの場合は、原作では晴れのシーンでも、ロケの日が曇りだったらそのまま撮らなくてはダメだったりもする。無限の可能性を持つ漫画に対して、ドラマは限定された状況で作業をしていかなくてはいけない。漫画と同じようにキャラクターを生き生きさせるには、俳優が与えられた役柄に魂を吹き込むことが必要になってくると思うんです。ドラマ化させていただくにあたって、原作の素晴らしさをすごく大切にしたいと思っています。でも、原作だけに終始するなら、『働きマン』の漫画を読んでいただくのが一番早いじゃないですか(笑)。せっかくドラマのスタッフが集まるのですから、その意味をしっかり生み出したい。原作の素晴らしさに何かを添えられるドラマにできるような演技をできたらなぁと思っています。」
──菅野さんも松方のように、仕事に対して真剣で、地で“働きマン” を行っていますね?
「そうなんです(笑)! インターネットに『働きマン診断』というのがあるんです。それを試したらですね、“90%以上鬼の働きマン”でした。“松方弘子も驚く仕事の鬼!”ってなったんですよ(笑)」
──原作の1巻で、松方は、自分の取ってきたスクープによって、巻頭が差し替えになるときに“ぞくっ” としますよね。菅野さん自身が、女優として仕事をしていて、ぞくっとくる瞬間はありますか?
「ぞくっとくる瞬間……。そうですね、怒ったりだとか、泣いたりだとか、感情をあらわにするシーンの演技の前には、緊張するんですね。松方の“ぞくっ” とは、ちょっと種類が違うかもしれないですけど、芝居前にそうなることが多いですね。自分の血がドクドクいっているのがわかるときがあります」
──『働きマン』の仕事以外、恋愛についての部分はどう読まれましたか。
「恋愛の要素もすごく共感して読みました。3巻の新二との別れの場面はグッときました」
──『ずぶ濡れマン』の回ですね。
「その回で、“あぁ、松方の精神的なよりどころはやっぱり新二だったんだなぁ” って思いました。女の子って、仕事がうまくいっていなくても恋が順調なら輝いていられると思うんですよ。でも、恋がダメなときは、根こそぎ持っていかれるんですね」
──え? 根こそぎですか?
「だと思います。恋愛は諸刃の剣ですから。逆に言うなら、自分がズタボロのときこそ、仕事の底あげのチャンスですよね! 自分の精神状態がいいときにいい仕事ができるのなんて当たり前だから、ズタボロのときにどんだけ踏ん張れるのか……。あの場面で、松方にすっごく共感しつつ、そんなことも思いましたね」
──『働きマン診断』で、90%以上って診断されるのも当然ですね(笑)。
「そうかもしれませんね(笑)。ははは」
──もしも、彼氏から、「俺と仕事とどっちが大切なんだ!」聞かれたらどうしますか?
「『仕事だろ!』と答えちゃいますね(笑)。仕事と恋愛を天秤にかけること自体が不毛だと思います。でも、相手にダダをこねられた時に、どれだけ自分が理解を示すことができるかだとか、それでも愛情を注げるかどうか。そういう意味での信頼関係というのはあるかもしれないですね。逆に言うなら、“もういやだ!” って思うなら、愛情が薄らいだことのバロメーターにはなると思うんです」
──では、菅野さんにとって、仕事とは?
「充実感が得られるものです。お休みの日は、のんびりしてていいなぁと思うんですけど、働いてきて帰ってからのご飯のほうがおいしく感じられますからね。仕事をバッチリしたあとのほうが、お酒だっておいしいですし」
──では、恋とは?
「必要だと思います。安野さんの漫画で“なるほど!”と思ったのは、“オシャレしていて仕事の効率が下がるんだったらオシャレしないほうがいいけど、オシャレしていても仕事の効率は下がんないんだから、そこで手を抜くのは女としてサボってるってことじゃん” というところ。そういう考えは素敵だなぁと思います。いつまでも女子高生のときの気持ちをを忘れない、やっぱり“女子力” って大切ですよね。そういう意味で、恋愛もサボっちゃいけないと思いますね」
──松方は、恋愛をサボっているわけではないのだけれども、恋人に対して甘えられない性格ですよね?
「そうですね。松方は、恋人だけなく、周りの人に頼ったり、甘えたりするのが苦手ですよね。それって、年齢も関係あるんじゃないかと私は思います。松方は今、一番苦しい年齢なんだと思うんです。下の後輩に文句を言えば偉そうになるし、ある程度の立場もあるから上にもグチれない。後輩の田中に対して、『お前、それじゃダメだ!』って直接は言えない。キャラ的には、何を言っても許されそうなのに、ぐっとこらえている。松方って、そこが魅力的でもありますよね。すっごい野心家で、周りは無神経と思うかもしれないけど、実はかなり気を遣っている。強がっているところがありますよね。男に負けたくないという気持ちもあるかと思いますが、もしかしたら、謝るのが苦手ということもあるかもしれませんね。こういう気持ちの女性には、男性側が譲歩したり気を
──菅野さんは最近、謝った事はありますか?
「もちろん、ありますよ。この前までやっていたドラマの現場ですね。私は松方よりちょっと年上で、今年で30 歳になるので、もう直接言えるようになったんです、『お前、ダメだ!』って。でも、そのときは、言った後で相手にものっぴきならない事情があってそうなってしまったということがわかって、悪かったなぁと思いました。でも、こっちが真剣に怒ると相手にもちゃんと伝わってるんですよね。謝ったら『あぁ、いいっすよ』って感じで、むしろ笑い話になりました。怒るのも、謝るのも、年齢というのはすごく重要かもしれませんね」
──菅野さんは女優の仕事を辞めようと思ったことはありますか?
「うーん・・・・・・。正直ありますね。ありがたいことなんですけど、自分のキャパ以上に忙しくなったりすると、仕事がいただけることに対して素直に感謝できなくなってしまうんです。そんなときですかね。10 代の頃は、ときどきそういう気持ちになることがありました。本当にやめる勇気なんてないんだけど、忙しすぎてただただ涙がこぼれる、という状況になりますね」
──松方にもありましたよね。単行本2巻『一人前の働きマン』に。
「私もそうでした。私の場合、違う人生を選んだ自分を想像してましたね。ツアーコンダクターになった自分だとか(笑)。でも、現実的に1日セットをキャンセルしたら損害何百万だろうなとか、何十人ものスタッフに迷惑をかけるだろうなとか、そしたらマネージャーさんは、どういう業務処理をするんだろうなとか(笑)。そんなことを考えてしまう時期は、たしかにありましたけど、今は続けてきて良かったなぁと思います。15 歳のときからなので、もう人生の半分ぐらい女優をしているんです。やっぱり、ドラマの仕事を通して、自分の価値観を作ってもらえたと思っているので、仕事には感謝しています。働きマンのドラマでも、新しい何かを見つけられればと思います。ぜひ、見てくださいね
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